火の国、風の国物語6 哀鴻遍野

5巻まで読み続けてて、切ろうか切るまいか
悩み続けて、ここまで買い続けてたこのシリーズ


6巻に来て、買ってて良かったと心底思いました。面白かった!
私的にこのシリーズの主人公陣営は正直嫌いです。
陣営というと語弊がありますね、主人公とその敬愛する王女が嫌いです。
だから切ろうか迷ってる訳なんですが。


基本的には、『主人公以外』はシミュレーションゲームでいう三国志をしてます。
王国軍と反乱軍のまあよくある戦記物です。
反乱軍は、貴族からの独立をめざし知略を巡らし、
王国軍は、反乱を鎮めるために軍を出し鎮圧を目指す。
奇襲を仕掛けたり、暗殺を狙ったり、計略を巡らせたり、戦略を練ったりします。


対して、国王軍側にいる主人公ですが一人だけアクションゲームの三国無双してます。
文字通り、一騎当千です。一人で千人の軍団を蹴散らせます。
一応、主人公には精霊の加護があり、力が強かったり精霊から神託のような
予知を与えられたりするんですが(後方から矢で狙われているぞ、みたいな)
それにしても、無茶苦茶します。敵からしたらたまった物じゃないです。
読んでる方も、もうちょっとバランスを何とかしてくれ(;´Д`)
と思うわけです。
強くても味方を活かせるならいいのですが、味方が空気になってしまうのです。
味方はまさに雑兵です、主人公の身内の従者さえその程度扱いです。流石に面白くない。
いや、この爽快感がいいという人もいらっしゃいますが、私的にはダメです。
盛り上がらない。強敵がいてこその強さなのです。雑魚をいくら蹴散らしても燃えない。


さて、6巻が面白かった理由なんですが
国の中央付近で王国軍と反乱軍が停戦状態で睨み合ってるのですが
北から、他国の兵が侵略のために南下してきます。
ここで南へ逃げ出す農民たち。しかし逃げ切れそうにない。
そこで、自分たちの家族を南に逃がす時間を稼ぐために、
父親たちが決死隊を結成。
自分たちは死んでも良いから、1分1秒でも家族が逃げる時間稼ぎをする。
こうやって、少数のただの農民とごく少数の騎士が侵略軍に対して
決死のゲリラ戦を仕掛けていく。有利なのは地の利があるだけ。
戦うたびに戦力はどんどん減っていく、この絶望的な戦に、
家族のために必死に命をかけて戦う農民と騎士たちの姿。
勝ちはない、死ぬしか道はないが、家族のために戦う…これだよ!
無双してる場合じゃないよ!!ここが面白かった。
負傷してもう戦えない味方に対して、
「慈悲として、これ以上苦しまないように殺してやる」のと
「懐に武器を隠して死体の振りをし、物を漁られる時に一人でも多く道連れにしろ」
の二択を突きつけ、
「ありがたい、こんなになってもまだ戦えるなんてな」という返事。
そして去っていく仲間が、「私も後から逝くよ、達者でな」
その返答に「できるだけゆっくりこいよ」ですよ。
絶望しかないのになんて熱いんだと(・∀・)親父たち格好良すぎだぜ。


今回は主人公の無双も場面的には良かったし満足だった。
でも、王女お前はだめだ!
知略に長けているみたいな書かれかたしてるけど、王女の肩書きと
異常な主人公の力を脅しに使って、自分の理想を周りに押しつけてる
ただのわがまま者にしか見えない。
周りの、知略・計略・謀略がその権力と暴力をちらつかされて
押しつぶされてるのみると、話の腰を折られているようで、イライラするです。
だから切ろうかと思うけど、私的には他の部分は割りと良いので
切れないというジレンマに悩まされてる、そんな作品です。
あ、後変にエロ挿絵はいらないと思うの。
確かに、こういう状況だと、若い娘が犯されそうになる場面もあるだろうが
わざわざその服を破られてるところなんかを挿絵箇所に選ぶなと(;´Д`)